
お知らせ
脳卒中症状等の合併症とリハビリテーション

こんにちは、脳梗塞リハビリステーションPROGRESSの寺西です。
皆さまは普段から脳卒中症状に対する対策を行っていますか?食生活や運動である程度予防できる脳卒中症状ですが、いざ発症してしまった場合には非常に大きな障害を与えてくる病気のため、早期発見や早期治療が何よりも大切です。
しかし、脳卒中というのはその症状自体はもちろん、その後に発症する合併症についても注意しなければならないのです。
今回は、脳卒中に関連する合併症についてお話をさせていただきたいと思います。
■合併症とは
そもそも合併症とは、「ある病気が原因となってさらに別の病気を発症すること」を指します。
ここで、「糖尿病」を例にした具体的な合併症の流れを見てみましょう。
●合併症

…上記のように、“きっかけとなる症状”から次の症状を発症していくことが基本的な合併症の流れになります。
※併発症・手術併発症/検査併発症
【合併症】とは上記の通り、「ある疾患によっておこる別の疾患」のことを指します。
またほぼ同義ではあるものの、なにかしらの手術や検査などで別の疾患を発症してしまうことを【併発症】もしくは【手術併発症/検査併発症】と言います。
例)「腸閉塞消化器手術のために開腹した際、手術後に腸管同士が癒着。腸閉塞を引き起こし、吐気や腹痛などの症状を引き起こしてしまう」など、外部刺激等のきっかけで症状を発症してしまうことを指します。
合併症は疾患(人体内部)、併発症は手術や服薬(人体外部)などの要因で、それぞれ症状を発症するという違いがあることに注意しておきましょう。
■参考
厚生労働省 e-ヘルスネット 様「糖尿病」より
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 様「動脈硬化」より
https://www.japa.org/lifestyle_diseases/main/arteriosclerosis/
「病院の言葉」をわかりやすくする提案 様「合併症」より
https://www2.ninjal.ac.jp/byoin/teian/ruikeibetu/teiango/teiango-ruikei-b/gappeisyo.html
製薬業界の転職支援 アンサーズ 様「併発症」より
併発症について
■脳卒中症状における「合併症」
先の項目で、合併症と併発症の内容・違いについて簡単に説明いたしました。
次に、脳卒中における「合併症」の種類や特徴について一部ご紹介させていただきたいと思います。
●脳卒中の合併症に関する特徴
脳卒中の合併症は高齢者の発症率が高く、またその死亡率も高めると共に機能的転帰も難しくさせるため、予防・治療を注意深く行っていくことが求められます。
ここで、脳卒中の合併症症状について有名な合併症を一部ご紹介いたします。
【誤嚥性肺炎】
…誤嚥性肺炎の起こる基本的な流れとして咀嚼機能低下による口腔内環境の悪化・細菌増殖、嚥下機能低下によってそれら細菌等を含む食物や唾液などの分泌液を誤嚥してしまうことで発生します。
また、嘔吐などによる胃食道逆流によって流れてきた内容物を誤嚥することでも発生することがあります。
この胃食道逆流を起こした場合は胃内容物を誤嚥し、酸・消化液により気道粘膜が化学的な炎症を起こすので肺炎が起こりやすくなります。
●誤嚥性肺炎の症状
・発熱、咳、膿のような痰の発生等。
・呼吸が苦しい
・肺雑音…聴診を行った際に、ぱちぱち・ぶつぶつと言った音や連続的な低いうなり・いびきに似た音が聴こえるといった異常呼吸音の総称です。
【尿路感染】
ここでは、尿路感染症のきっかけとなる神経因性膀胱についてお話いたします。

…脳から腎臓・膀胱への指令が伝達できないために起こる合併症です。
膀胱が自分勝手に収縮を起こしてしまうことで排尿できない、もしくは間に合わずに漏れてしまうこともある症状で、放置しておくとさらに膀胱炎などの尿路感染症や腎臓障害へと繋がっていく可能性があります。
また、この神経因性膀胱は直腸手術などの併発症としても考えられる場合があります。
●尿路感染の症状
・頻尿/尿失禁/排尿困難/尿閉(膀胱内に尿があっても排泄ができない状態)など
・膀胱炎
・排尿時痛 など
【転倒】

…実は転倒も脳卒中症状の合併症として考えられています。
転倒が注意されるタイミングとしては上記画像にあるような場合に加え、リハビリテーションなどの運動療法時のように介助者がいる場合でも、患者の体調・環境状態によって転倒リスクは増減するため注意が必要になります。
尚、転倒は脳卒中症状そのもののきっかけにもなります。
●転倒の症状
・骨折
・頭部内の出血(脳出血)…【慢性硬膜下血腫】と呼ばれる症状等がきっかけで、転倒などによる頭部への直接的もしくは間接的な衝撃により出血し、血液が脳を圧迫する等の症状を呈することがあります。尚、強い頭部衝撃等がきっかけの発症が多いため、受傷直後から意識障害を起こす方もいます。
受傷時に意識がはっきりしている方でも、しばらく時間が経った後に急激な状態悪化を起こす場合もあるので大変注意が必要です。
【再出血】

…脳出血・くも膜下出血後に止血したとしても一時的なものが多く、何かの拍子に止血部分が破裂する場合があります。
それは先にお伝えしている転倒だったり、血流悪化による血管圧迫が理由になることもあります。
再出血の死亡率については、くも膜下出血を例にすると初回出血でも死亡率が約25~30%ほどと高い水準である上に、再出血時は約50%、再々出血の場合には約80%まで死亡率が上昇するため、再出血が起きないようかなり注意深く予防処置を行っていくことが求められます。
また、再出血防止について難しいと言えるのは、手術を行うのか、またその種類をどうするのかの決定が患者の容態によって大きく変わってしまうことにあります。
仮に患者が昏睡状態であったり血圧の不安定な場合には手術による改善は困難とされ避けられ場合もあるなど、これらも高い死亡率を示す一因になるのではないかと思われます。
■参考
日医工株式会社 様「誤嚥性肺炎の症状と発見方法は」
https://www.nichiiko.co.jp/medicine/swallow/swallow03.php
一般社団法人 日本呼吸器学会 様「呼吸器の病気」より
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=11
健康長寿ネット 様 「脳卒中の運動療法とは」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shippei-undou/undou-nousocchu.html
花畑たむら内科 様「転倒の後の脳出血」より
転倒のあとの脳出血
■リハビリテーション医療について
例えば脳卒中症状は、癌や心疾患などに続いて日本人の死因4位となっているものの、寝たきりの原因となる疾患としては第1位と言われているのです。
その理由としては、早期に発見・治療ができたとしても、先に紹介しているような合併症や治療中やその後に運動等を行わなくなる期間が続くことによる筋肉の萎縮や骨密度の低下による生活の質の低下等が原因としてあるためです。
こういった疾患や怪我などによる日常生活等の質低下を防ぐためには、早期的もしくは継続的にリハビリテーションをおこなっていくことが重要になるのです。
ここで、それら疾患等を発症した際に行われる「リハビリテーション医療」についてお話させていただきます。
●リハビリテーションを行うタイミング・期間について
リハビリテーション医療においては、疾患等発症後の回復経過によって「急性期」「回復期」「生活期」の三つの期間に分けることができます。
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【急性期】
…症状等の発症が急激で、生命の危機状態に陥っている状態。全身管理が必要とされる期間。
【回復期】
…急性期から脱し、症状が安定に向かっている・安定している状態。回復能力が高い時期になるので、通常この期間にリハビリテーションを開始します。
【生活期(維持期)】
…機能障害症状等が安定、家庭生活や社会生活を維持・継続する時期。
健康管理・自立生活支援・介護負担軽減のため、在宅・地域サービスが提供されます。
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ここで、脳卒中症状の中でも発症率の高い脳梗塞を例に、急性期~生活期・リハビリ期間についての流れを説明いたします。
…以前は回復期にリハビリを行うのが一般的でしたが、近年では急性期に患者の容態に合わせてリハビリを行っていくことも多いです。
治療直後もしくは治療と共にリハビリを行うことで、その後の予後が良好となる傾向にあるためです。
特に、筋肉の衰えや骨の強度が落ちてしまうなどの「廃用症候群」と呼ばれる症状等に特に効果を表します。
●疾患等、急性期にリハビリを行う目的
先にお伝えしている通り、急性期にリハビリを行う目的は身体・認知機能低下を防止することです。
脳卒中症状を例にすると、脳卒中症状発症後は上記のような症状を防ぐために約48時間以内を目安に急性期でのリハビリテーションを行うことが推奨されています。これは急性期中に脳の血流が改善し浮腫みがとれてくるタイミングでもあるので、早期的に機能改善を目指すためのリハビリテーションを行う機会として適していると考えられるためです。
尚、リハビリには摂食・嚥下運動も含まれるため、先にも紹介している誤嚥性肺炎などの合併症予防を行うこともできます。
●脳卒中症状のリハビリで予防が期待できる合併症
先にお伝えしている廃用症候群(筋萎縮・骨の強度低下など)以外にも、脳卒中症状等の治療後に起きる可能性の合併症があります。
ここで、脳卒中治療後すぐにリハビリを行うことによって改善・予防が期待できる脳卒中合併症を一部、概要と共にご紹介いたします。
【深部静脈血栓症】

…足から心臓部へ繋がる静脈に血栓ができて詰まる病気。通常ふくらはぎや足の表面にあるような静脈に血栓ができても問題はありませんが、
深部静脈と呼ばれる、通常の静脈よりも太く、下肢深部にある静脈に血栓ができることで重症化します(具体的には下腹部・太もも・膝の中心などにある静脈)。手術後など、長期安静が求められる場合は運動を行わないため血栓生成が促されます。急性期からリハビリなどで体勢を常に変更させることで、この血栓の生成も食い止めることに繋がるのです。
【肺塞栓症】

…別名「エコノミークラス症候群」とも呼ばれる肺の血管に血栓が詰まってしまう病気。突発的な呼吸困難・胸痛、最悪の場合には心停止を起こします。
流れとしては先に紹介している深部静脈血栓症で発生した血栓が足の静脈を通って肺の血管へ移動、肺血管の塞栓を引き起こします。
また、深部静脈血栓症・肺塞栓症は上記の通り連続している病気で、これらをまとめて「静脈血栓塞栓症」と言います。
これらの症状は先にも書いている通り、リハビリなどの定期的な運動を日常的に行うことで、血栓による塞栓の発生を引きとめることに繋がります。
【うつ】

…脳卒中症状にて発症する鬱症状の特徴としては、一般的な症状である罪悪感・自責の念を感じることによる自殺観念・企図などが意外にも少なく、【思考抑制】(考えが浮かばない、進まない)や【行動規制】(やるまでやる気がわかない、取り掛かるまでに時間がかかる)が強い傾向にあるようです。
そのためリハビリテーションを始められない(始めたくない)といった状態になり、結果として運動に取り掛かれず寝たきりになってしまう方も少なからずいます。もちろん、仮にリハビリを行わなかったからと言って他の合併症が起こってしまうとは限りません。しかし、心的もしくは身体的に回復が見込めるチャンスを逃してしまうのは本当にもったいないこと。本人の意思を尊重しながらも、周囲の方たちが励まし、支えていくことが何よりの力になります。
…ここまで紹介した【深部静脈血栓症】や【肺塞栓症】といった症状は、特に急性期間でのリハビリテーションにより予防が見込める症状となっています。
鬱に関しても、一度リハビリを始めてしまえば改善されていく可能性のある症状です。いままでの生活に戻ることは確かに難しいですが、少しでも脳卒中発症後の生活の質を改善・良くしていくためにも、急性期の早い段階からリハビリを行い、少しでも合併症の予防等につなげていくことが大切なのです。
■参考
血管の病気(血管病)について 日本血管外科学会 様「深部静脈血栓症」より
香川県立中央病院 様「肺塞栓症とその予防について」より
肺塞栓症
一般社団法人日本うつ病センター 様「脳卒中を起こした後、うつ病になりやすいって本当?」より
https://www.jcptd.jp/contents/contents/detail/70?categoryId=47
静岡市立清水病院 様「脳卒中後のうつ 心の状態に注意を」より
https://www.shimizuhospital.com/column/8529/
PDF資料より
メディカルチェックスタジオ 様「急性期、回復期、生活期の3段階がある脳梗塞のリハビリ」より
https://medicalcheckstudio.jp/contents/133
■まとめ
今回は、脳卒中やそのほかの症状で起こる可能性のある合併症、そしてそれらの症状や予後の不良を防ぐ・改善することのできるリハビリテーションについてお話いたしました。
脳卒中症状等の疾患が一時的に回復したとしても、合併症の発症によって最終的に寝たきりになったり、最悪の場合死に至ることもあるなど、その危険性とその後の生活に与える影響は非常に大きいです。リハビリは、それら合併症を予防・改善するだけでなく、今までできていたことができなくなった、という喪失感や焦りも緩和してくれる非常に大切な治療行為です。
今回の内容が、いつか来るかもしれない「もしも」のための一助になれば幸いです。
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