
お知らせ
脊髄小脳変性症について

こんにちは。尼崎市塚口にございます脳梗塞リハビリステーションPROGRESSの寺西です。
当施設では、脳卒中などのいわゆる脳血管疾患によって引き起こされる後遺症やパーキンソン病のような神経疾患になどに対するリハビリテーションを行っています。
脳卒中などは生活習慣病などが原因で起こる場合が多く、逆に言えば普段の生活から健康に気を付けていればその発症を防げる可能性があります。
しかし、あらゆる疾患の中には遺伝が理由で発症してしまったり、逆に親族の中で自分だけが突然発症してしまうこともあります。今回はそんな遺伝性・非遺伝性の神経変性疾患の病気として有名な「脊髄小脳変性症(SCD)」について、その特徴やリハビリテーションの有効性等についてご紹介していきたいと思います。
■脊髄小脳性変性症とは
主に小脳の変性によって引きこされる運動失調状態を呈する疾患で、その原因が「感染症」「中毒」「腫瘍」「栄養素の欠乏」「奇形」「血管障害」「自己免疫疾患」等によらない疾患の総称を指します。尚、この脊髄小脳変性症は中枢神経系(大脳/小脳/脳幹など)の広い部分に影響がでて、その範囲が脊髄にも及ぶため脊髄小脳変性症(以下 SCD)という呼称となっています。
以下は、小脳の変性によって起こる運動失調の一覧になります。

…足のツッパリや歩行障害が主な症状である「痙性対麻痺」については、一部小脳の変性のために見られる症状を呈することがあるため、日本では行政上SCDに含まれます。
1970年頃にポルトガル家系から確認されその症状の報告がされていたためポルトガルを起源とした稀な病気と考えられていましたが、世界中でその症状の分布が確認され、現在では人種・年齢・職業・生活習慣との関連性がない誰でもなりうる疾患だと考えられています。
■参考
難病情報センター 様 「脊髄小脳変性症(~)」より
脊髄小脳変性症について
東京逓信病院 様 「脊髄小脳変性症」より
https://www.hospital.japanpost.jp/tokyo/shinryo/shinnai/sca.html
■SCDが起きる原因
この疾患が起きる原因は「非遺伝性」と「遺伝性」の大きく二つに分けられ、日本全国的にこの疾患の患者数は約3万人を超えています。
尚、この疾患についての非遺伝性の患者数が全体の約3/2以上で、残りの約1/3は遺伝的要因で発症することがわかっています。
◇顕性(優性)遺伝と潜性(劣性)遺伝形式
SCDは遺伝性(遺伝性脊髄小脳変性症)である場合、その大半は「顕性遺伝(優性遺伝)性」であり、この場合親から子へ遺伝する可能性があります。また、稀にですが兄弟姉妹の間のみで脊髄小脳変性症が発生する「潜性(劣性)遺伝性」が見られることもあります。
・顕性遺伝の場合の疾患遺伝率
…親が遺伝性SCDの場合、子どもへ疾患が伝わる確率は"半分"となります。尚、具体的には例えば子どもが二人いる場合、どちらか一人に遺伝が行くということはなく「二人に伝わる」「どちらかに伝わる」「二人とも伝わらない」可能性がそれぞれ存在するということになります。
尚、これが潜性のものであった場合には、親から子への遺伝率は非常に低いと考えられています。
こういった遺伝に関するカウンセリングは専用の機関で行っているところもあるため、気になった方は受診してみることをお勧めいたします。
(*遺伝カウンセリングについてはほとんどの場合が自費診療となるため注意が必要です)
■参考
難病情報センター 様 「脊髄小脳変性症(~)」より
東京逓信病院 様 「脊髄小脳変性症」より
https://www.hospital.japanpost.jp/tokyo/shinryo/shinnai/sca.html
■非遺伝性のSCDについて
◇多系統萎縮症
主な症状は先に画像にてお伝えしている通りですが、非遺伝性のSCDに関しては様々な症状に対し「多系統萎縮症」という総称があてられます(非遺伝性のSCDの内、約7割が多系統萎縮症で、残り約3割は皮質性小脳萎縮症と呼ばれています)
中高年以上の非遺伝性SCD発症者に見られることが多く、症状の進行と共に各病態がそれぞれの症状を合併するようになるため、まさに多系統の障害を発現することになります。
以下は、その多系統萎縮症で見られる症状の一覧になります。
=====
●オリーブ橋小脳萎縮症
…主に中年以降に発症し、早期的な症状として小脳性運動失調(歩行・起立時のふらつき、手の細かい動作能力の低下(字が汚くなる・物を持つと震える等))がよく表れる疾患で、普段の何気ない動作を円滑に行うことができなくなります。
特に小脳、橋(きょう)部分の顕著な萎縮が確認できます。
●パーキンソン症状(錐体外路症状)
…正確にはパーキンソン病ではなく、パーキンソン病に似た症状を呈します。
主な症状としては、パーキンソン病で見られるような振戦(震え)・動作緩慢・固縮・発声異常などの症状を発症・進行していきます。
パーキンソン病と区別しにくいですが、例えばパーキンソン病での手足の震えについては左右差がはっきりしているのですが、多系統萎縮症における症状では左右差があまり見られないなど細かく小さな差がいくつか確認されるため、それらを鑑みて両症状を区別していきます。
●シャイ・ドレーガー症候群
…特に30~60歳代の男性に多い病気です。
起立性低血圧・排尿障害・消化管機能障害・呼吸障害などの自立神経系異常を引き起こし、それらを主な症状として進行・経過していくものになります。尚、進行が進んでいくと手足の震えなどパーキンソン病に似た症状が出現してきます。
=====
…以上が、多系統萎縮症の症状を構成する主な症状群になります。尚、この診断のためには病歴・診断症状の診察を重要視して行いますが、小脳失調型や大脳の基底核における異常はMRI診断にて特徴的な異常が発見されるため、必ずこの検査を行います。
■参考
東京都立神経病院 様 「多系統萎縮症」より
東京逓信病院 様 「多系統萎縮症」より
https://www.hospital.japanpost.jp/tokyo/shinryo/shinnai/msa.html
富山大学付属病院 難病医療支援室 様 「パーキンソン病 どんな症状があるの?」より
大塚製薬 様 「パーキンソン病 どんな症状があるの?」より
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/parkinsons-disease/symptoms/
難病指定センター 様 「レスパイト対象となる難病一覧」より
*レスパイト…"休息"などの意味で、地域で在宅医療や介護をしている方・ご家族・介護者の休息・休養を行うために一時的に病院へ短期入院をする「レスパイト入院」などがあります。
■脊髄小脳変性の治療・リハビリテーション
脊髄小脳変性症の進行はゆるく、症状が突然悪化することはありません。しかし進行している途中には歩行・起立時のふらつきからの転倒や、それによる骨折なども考えられるため、運動障害等に対するアプローチを比較的早い段階から行っておくことが症状進行の緩和に繋がります。
ここで、脊髄小脳変性症に有効とされている治療薬やリハビリテーションなどについて紹介致します。
…上記で紹介している「セレジスト」以外にも、脊髄小脳変性症によるパーキソニズム(パーキンソン病とは別の要因で生じるパーキンソン症状のこと)に対して、初期段階に抗パーキンソン薬を服用することで一定の効果があると言われています。
また、各神経障害症状に対する治療薬の服用も、それぞれの症状に一時的にですが症状を抑えることができるとされています。

他にも、脊髄小脳変性症により引き起こされる症状のうち、比較的初期には「呼吸障害」が起こるとされています。突然一定の間隔をあけて呼吸が停止してしまい、体内に酸素が足りず最悪の場合突然死に至ることもあるため、それらを防ぐために外から空気を送り込み、体内に酸素を供給する処置をとる場合もあります。
脊髄小脳変性症に対するリハビリを行う目的は「回復」ではなく現在残っている運動能力の「維持」とその期間をなるべく長く残すことです。そもそも、運動失調に対する薬物療法に関しては限界があります。一時的に身体の運動能力を回復させても運動失調の症状は進行していくものなので、薬物のみの治療に任せているとリハビリテーションを受けていない場合に比べ早く失調症状が進行してしまうこともあります。
また、脊髄小脳変性症による運動失調症状は個人ごとに違います。そのため、個々人の問題に合わせたリハビリテーションプログラムを薬物療法と並行して、継続的に行っていくことが非常に重要となります。
■参考
田辺三菱製薬 SCD・MSAネット 様 「SCD・MSAリハビリのツボ」より
https://scd-msa.net/rehabilitation/objective/
健康長寿ネット 様 「SCD・MSAリハビリのツボ」より
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/sekizuishounouhenseishou/chiryo.html
KEGG MEDICS 様 「医療用医薬品:セレジスト」より
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00069026
■脊髄小脳変性に関してのまとめ
以上、簡単にはなりますが脊髄小脳変性症についてのお話を紹介させていただきました。
この症状は非遺伝・遺伝性の疾患で、事前にその発症を防ぐことができません。また、非遺伝性の脊髄小脳変性症である多系統萎縮症を発症した場合には、発症後平均約5年で車いすを使用・約8年で寝たきりの状態となり、それ以外の脊髄小脳変性症の場合についてはその進行度個人差はあれど長くとも約20年ほどで寝たきりの状態になってしまう場合が殆どだと言います。
その進行を少しでも抑え、自分らしく生活をしていくためには、適切なリハビリテーションの継続と薬物療法を並行して行っていくことが大切です。自分らしい生活を長く送っていけるよう、専門家や医師の意見などをしっかり聞き、努力を続けることが求められるのです。
■脳梗塞リハビリステーションPROGRESSで提供するリハビリ
尼崎にある「脳梗塞リハビリステーションPROGRESS」は、
運動の専門家である理学療法士・鍼灸師が在籍している自費リハビリ施設です。
理学療法士、鍼灸師による完全マンツーマンで行うリハビリが特徴で、
脳梗塞・脳出血に代表される脳卒中の後遺症に対するリハビリテーションを行っております。また、パーキンソン病などの神経疾患にも対応。
医療保険による治療・介護保険の範囲では改善しきれない方達に選ばれております。

□下記リンクから実際にリハビリを行っている様子をご覧いただけます。
リハビリテーション
脳卒中の後遺症やパーキンソン病などに対してのリハビリはもちろん、小さなお悩みも抱えず、
まずは「脳梗塞リハビリステーションPROGRESS」へご連絡ください。
誠心誠意、しっかりとアドバイスやサポートをさせていただきます。
■ご予約・お問合せはこちら
お電話はこちら:0120-35-3455
下記QRより 脳梗塞リハビリステーション PROGRESS の公式SNSをご覧いただけます、ぜひお越しください。
※「Meta」は前Facebookの新社名およびサービス名になります。
当施設のリハビリ体験プログラムについて
リハビリ体験プログラムへのお申込み
- お電話でお問い合わせ
-
9:00〜20:00 休業日:木曜 年末年始(相談可)
- メールでのお問い合わせはこちら
-
24時間365日受付!